僕にとっては「夜にまったりとした時間が過ごせる公園」
中正紀念堂(Zhōngzhèng jìniàn táng / ジョンジェンジーニェンタン)は「台北101」と並んで台北のランドマークといってもいいくらい、観光客には有名かつ定番スポットだと思います。
「中正紀念堂」と聞くと、多くの人が真っ先に思い出すのが「衛兵交代式」だと思うのですが、夜型の僕は、台北滞在中はだいたい10時くらいに起きて、12時くらいから動き出し、かつ暑い日中は建物内で過ごすことが多いので、中正紀念堂に行くのを思い出した頃には大概閉館してしまってるんですね…。
ですので、よく耳にする「衛兵交代式」はまだ見たことがないのですが、一度だけ昼間に見た衛兵さんは確かに微動だにせずに人形か!?と思うような佇まいでした。
一方で、夜の中正紀念堂は観光客も多くなく、ダンスの練習をする中高生や、犬の散歩に来ている人などで、一気に市民のつどい、憩いの場の色が強くなります。
また朱色の屋根が鮮やかな「国家戯劇院」や「国家音楽庁」のライトアップも美しく、昼間とは打って変わって喧騒が少ない空間に身を置くと、「今、台湾にいるんだなぁ…」っていう、なんといいますか、地球の一つの「点」に身をおいている感を僕は凄く感じて、日本からの距離を感じながら、台北の地に訪れていることに幸せを感じます。
開館時間・アクセス
ちなみに、中正紀念堂の営業案内ですが、公式ホームページの英語版から引用しておきます。()内の日本語訳は僕が追加したものです。
Hours(開館時間)
[Memorial Hall(中正紀念堂)] Open daily from 09:00 to 18:00,
except for Chinese New Year Eve and Chinese New Year(正月・旧正月除く)
[Memorial Park(公園)] Open daily from 05:00 to 24:00Changing of the honored guards(衛兵交代式)
[A.M.] 09:00、10:00、11:00、12:00
[P.M.] 13:00、14:00、15:00、16:00、17:00
また公式の紹介動画もありましたので、中正紀念堂とその周辺の公園の雰囲気を見てみたい方は是非ご覧ください。
なお中正紀念堂へ行くには、台北メトロ(MRT)の「淡水信義線(赤色)」または「松山新店線(緑色)」の「中正紀念堂」駅下車、5番出口利用が便利です。
國立中正紀念堂(国立中正紀念堂)(Guólì zhōngzhèng jìniàn táng)
夜に初めて見た時の感想は「ラスボス」でした(笑)。
政治的背景をわかっていない人間だからこう感じるのかも知れないのですが、とにかくデカいんです。その大きさを体感するだけでも訪れる価値はあると思います。蒋介石の没年数にちなんだ階段を登り切ったところから見る公園全景も美しいものです。
街中だけ歩いているとあまり日本の都市部と変わらない印象のある台北ですが、こういった中華風建築が並んでいるのを見ると、やっぱり異国に来たんだなぁ…と実感できる場所だと思います。
自由廣場牌樓(自由広場門)(Zìyóu guǎngchǎng páilóu)
僕はこの「自由広場」という文字を見た時に、文字通り心も清々しい気持ちになったのですが、もともとは「大中至正門」という名前だったそうで、いろいろ調べて行ってわかったのですが、「中正紀念堂」も「台湾民主紀念館」に改称されていた時期があったそうです。
名称の改変の背景には「蒋介石」に対する政治的な捉え方が絡んでいるようで、台湾の国民全員にとってこの施設は快いものでは決してないようです…。
当サイトではそういう政治的な背景は置いておいて、あくまで「建物と公園」という観点から紹介させていただきます。
國家音樂廳(国家音楽ホール)(Guójiā yīnyuè tīng)
「国家音楽ホール」および向かい合っている「国家劇場」は赤い屋根瓦が印象的で、いかにも中華風な建物ですが、中身は近代的なコンサートホールと劇場です。
夜になると国家劇場の周りでは、沢山の中高生がダンスの練習を熱心にしている光景に出会うでしょう。僕はこういう光景が「台湾の日常」って感じでとても好きです。
この2つの建物は夜になるとライトアップされて、より赤色が強調されます。写真を見ていただくとわかるように、昼間の印象とはずいぶん異なると思います。
今回は中正紀念堂とその公園の風景をご紹介したのですが、一旦政治的な背景を知ってしまうと、訪れた場所の印象も変わるものです。
これまでは蒋介石の事を知らずに、ただただ大きな建物があって広い公園ですごく滞在して気持ちいいなぁと思っていたのですが、歴史的な背景を考えると、市民感情から呼び名まで複雑な場所なんだなぁと感じました。
観光の「楽しさ」が手放しでなくなる半面、ある意味深く台湾と関われるのかなぁとも思います。日本の沖縄でもそうですが、観光で訪れる人間には「基地」に対する感情はノータッチなわけで、観光客視点では気づくことのない「闇」はやはりどの国でもあるんだなぁと改めて感じた次第です。
ただ、やはり大多数の観光客にとってはここは「ランドマークな公園」なわけで、僕はあくまで公園として楽しみつつ、でもそういう事情もある事も最大限寄り添いながら今後も訪れようと思います。