台湾夜市グルメ紹介第12弾は「黒輪」です。そして、補足として「甜不辣」も取り扱います。
この「黒輪」、扱っているお店の多くに赤ちょうちんの看板があり、「黒輪」の文字も筆文字で書かれているんで、なんか日本の居酒屋っていうか屋台を彷彿させるんですよね…。
でも、そこにはちゃんとした理由が!
※お知らせ 第12回以降からは読み方のうち「英語表記」を割愛します。
「黒輪」「甜不辣」の中国語発音・台湾語読み方・カタカタ読み方
「黒輪」を中国語で読むと「Hēi lún ヘイルン」になるのですが、この食べ物に関しては圧倒的に台湾語読みの方がポピュラーで台湾語で読むと「おれん」となります。
後ほど、写真で「黒輪」をお見せしますが、まさにそのルーツは日本の「おでん」なんですね。
そして「甜不辣」の中国語読みは「Tián bù là ティエンブーラー」、そうこれも日本の「てんぷら」ルーツの中国語なんです!
「黒輪」「甜不辣」ってどんな食べ物?
さてこの「黒輪」と「甜不辣」なんですが、地域やお店によっても定義が異なっており、僕もはっきりとした区別はよくわかっていません。
僕がここでお見せしたものと同じものがみなさんが旅行した際に「おれん」を注文した時に出るとは限りません。ですので、この2つの食べ物についてざっくりしたイメージをここで形成していただければと思います。
「黒輪」も「甜不辣」も関西でいう「てんぷら(練り製品)」のこと
関西出身の僕は「てんぷら」って聞くと2種類の食べ物を思い浮かべます。
1つは、衣がサクサクで天丼の上にのってるやつで、もう1つは魚肉の練りものに、キクラゲやらゴボウやらを混ぜて揚げたものです。「黒輪」や「甜不辣」は、関西でなじみのある「魚肉練り製品のてんぷら」に近い食べ物です。
九州の方には「丸天」をイメージしていただければいいと思います。丸天よりも小ぶりで薄いのが台湾の「黒輪」や「甜不辣」のイメージです。
同じ「黒輪」でも形状・調理法は様々
高雄西子湾の「黒輪」
こちらは僕が高雄市の旗津半島行きのフェリー乗り場近くで初めて食べた「黒輪」なんですが、チビ太のおでんを彷彿させるようなビジュアルで、3枚の丸い形の練り物が串に刺されており、それにタレを塗って焼いています。
初めて食べたのがこれだったので、「黒輪」っていう食べ物はこういうもんなんだな…って学習したわけです。
新北湳雅觀光夜市の「黒輪」
ところが場所が変わって新北市の湳雅觀光夜市で見た「高雄黒輪」というものは、棒状の練り物を揚げているんです!
僕が初めに食べた「黒輪」とカタチも調理法も違うので、もはや何が「黒輪」なのか僕もよくわかりません(苦笑)。
なので、初めにざっくりしたイメージで「黒輪」を捉えてほしいと書いたんです。
おそらく、魚の練り物を丸なり棒なりの形にして、何らかの調理を加えたものは全て「おれん」なんだと思います。
食材・素材としての「黒輪」「甜不辣」もある
そしてややこしいことに「黒輪」や「甜不辣」が食材の名前として使用されるケースもあります。
これは後日紹介する予定の台湾の屋台定番の「鹽酥雞」のお店の写真なのですが、メニューのところに「黒輪」や「甜不辣」と書いてあるのがわかると思います。
この場合は揚げ物の「素材としての練り製品」を表しています。なんか食べ物の話なのに文法の解説をしているような気分になってきました(笑)。でも、こうやっていろいろ調べて知っていくと、より旅は楽しめると思うんで解説しております!
「日本のおでん」を台湾では「関東煮」と呼ぶ
そしてさらにさらにややこしくしているのが、いわゆる「日本のおでん」全般を指して「黒輪」と呼ぶこともあります(苦笑)。
でも「黒輪」と呼ぶのはレアケースで、台湾では「日本のおでん」の事を「関東煮(Guāndōng zhǔ グァンドンズー)」という方がポピュラーです。
台湾のコンビニのレジ前にも、日本と同じく「おでん」コーナーがあるんですが、そこでは「関東煮」という文字が書かれている方が普通です。
そして面白いことに、日本の関西地方では、今でもおでんの事を「関東煮(かんとだき)」という呼ぶ人は多く、関西と台湾で「練り製品の呼び方(てんぷら)」や「おでんの別名(関東煮)」が同じであることは、なかなか興味深く感じます。